◆田中 伸尚 著
◆発行年月日:1998/12/
◆サイズ:四六判・上製
◆ページ数:336ページ
◆ISBN:978-4-87196-017-5
◆定価:2400円+税
■内容紹介■
敗戦直後、おそらく多くの人が学んだことは……「もう二度とこりごり」であった。この思いは、つきつめていけば国家・天皇のために死ぬということは二度としない、換言すればそうした国家を支える「国民」になることを「やめよう」という認識にたどりつくはずでした。……それは〈自分〉という主体を日本や「想像の共同体」としての「国民」に預けることはしないという意味を持っていたはずです。ですから、戦争・敗戦の経験で問われていたのは国家と同時に「国民」でした。それが、二度と戦争はしないという……「戦後歴史認識」の核心なのだと私は思います。(本書より)
l 〈戦〉死者をめぐって
日本遺族会の五十年
「犠牲者サイクル」の思想
靖国と若もの
戦死者はなぜ死なねばならなかったのか 他
●対談——ノーマ・フィールドさんと
ll 記憶と忘却をめぐって
教育勅語を引きずる日教組の「教育祭」五十年
「平和祈念館」の経緯と問題点
「大逆事件」八十六年目の名誉回復
この国はまだ「軍人国家」ではないか 他
lll ナショナリズムをめぐって
「国の礎」信仰を支える装置
宗教とナショナリズムの「結婚」が呼び出す暴力性
玉串料違憲判決は社会を変えられるか
「新ガイドライン体制」と国民国家からの「離脱」 他
田中 伸尚(たなか のぶまさ)
1941年10月、東京都生まれ。朝日新聞記者を経て、ノンフィクション・ライター。民衆の視点から歴史や事象を捉え直し、事実を複眼的、批判的に積み重ねて構築するその骨太な作品には定評がある。著書は、各紙誌で絶賛された全8巻の大著『ドキュメント昭和天皇』ほか、『自衛隊よ、夫を返せ!』『大正天皇の「大葬」』『一九二八年。「御大典」の裏側で』『生と死の肖像』『日の丸・君が代の戦後史』『靖国の戦後史』『医療で死なないために』『さよなら、「国民」』『天皇をめぐる物語』など多数。