「劇団仲間」創設時のメンバー最年長俳優の稀有な半生記であり

と同時にわが国の演劇界にとっても貴重な証言録!

 

われらの仲間

『森は生きている』とともに

 

 

 

 

 

◆ 発行:2022年2月

◆ 判型:A5判

◆ 頁数:160頁  

◆ ISBN978-4-87196-084-7

◆ 定価:1,800円+税

 

 

■著者紹介■

 

渡辺 芳子(わたなべ・よしこ)

 

舞台俳優。劇団仲間所属。1927年、東京生まれ。45年、精華高等女学校卒業後、空襲を避けて長野県松本市に転居。当地で辻邦生と出会い大きな転機に。敗戦後の46年、帰京。49年、俳優座養成所に入る。53年、同所卒業。翌54年、劇団仲間に参加。同年、俳優座劇場杮落としの『森は生きている』に、演出家の青山杉作に抜擢されて女官長役で初舞台。以後、2006年12月の東京公演まで半世紀以上にわたって女官長役を務める。同作以外にも出演作品多数。

 

■内容紹介■

 

現在も毎年のように演じられている『森は生きている』は、

ロシアの高名な劇作家・マルシャークの児童青少年演劇の最高傑作であり、

湯浅芳子訳によって1954年の俳優座劇場杮落としで日本で初めて演じられた。

 

俳優座養成所を出たばかりの著者は、

その記念すべき舞台に演出家の青山杉作に抜擢されて重要な女官長役で出演。

以来、半世紀以上にわたってその役を務めあげて、

女官長役が代名詞にさえなっている。

 

本書は、「劇団仲間」創設時のメンバーで

最年長俳優でもあるその著者の稀有な半生期であり、

と同時にわが国の演劇界にとっても貴重な証言録となっている。

 

■もくじ■

 

  はじめに

 

『森は生きている』を劇団仲間で演じる

『森は生きている』を自ら演出したかった

 

  第1幕 私の根っこをつくった少女・娘時代

 

頑固な父のもと演劇とは無縁の家庭に育つ

軍国主義に染まったごく普通の女学生

若き辻邦生氏との出会いと演劇への目覚め

俳優座養成所の自由でアカデミックな雰囲気に刺激

陰で応援してくれた母に感謝

 

  第2幕 『森は生きている』との出会い

      劇団仲間への参加と活動

 

『森は生きている』とはどんな芝居か

『森は生きている』のあらすじ

活況を取り戻しつつあった演劇界の中で 

〝青山マジック〟にかかって女官長を演じた 

芝居に子ども向けもおとな向けもない 

青山先生は狭い政治的な芝居にしなかった 

人も動物も植物も大自然の中で生きている 

父に勘当されるのが嫌で勤めに 

演出家・中村俊一氏に誘われ劇団仲間に参加 

青山先生の演出法を中村氏にすべて伝えた 

青山先生が求めたのは「気品」と「心を込めて」 

子どもたちに真の演劇に触れてほしい 

児童劇のコンクールで優勝し劇団仲間が有名に 

おやこ劇場をつくったがんばりやの伊藤巴子 

観劇後に林光氏の歌を歌いながら帰る子どもたち 

それぞれの演出家のもとで女官長を演じられた喜び 

千田是也氏の優雅な演出 

若いときは顔にシワを描いて老け顔に 

新聞で倉本聰氏に褒められた『遁走譜』での難役 

劇作家の秋元松代氏も劇団仲間のメンバーだった 

夫・湯澤省三との出会いと急な別れ 

芝居の世界に入ったら夫の死に目にも会えない 

老兵士の台詞「今にいいことがあるよ」に救われた 

『森は生きている』には人生に当てはまる台詞がいっぱい 

照明家だった最初の夫は児童教育の実践者に 

私の役作りと心意気 

早変わりも下着チラリも「へいっちゃら」 

舞台の床に「いい子、いい子」してから登壇 

 

  第3幕 ロシア・欧州の旅の思い出と

      最近の芝居について

 

初めての海外旅行は夫と行ったイタリア

舞台が中心、気が向けば旅行の六十代 

ロシアで劇作家マルシャークの墓に詣でる 

子どもたちの平穏なる成長のために活動したマルシャーク 

本場ロシアで観た『十二月』 

二〇一九年十二月の劇団仲間『森は生きている』を観て

メリハリのある美しい舞台とは

各場面の感想とアドバイス

森は〝生きている〟からこそ女王を学ばせ変えることができた

劇団仲間とこれからの芝居 

「されど 根は人の眼に触れず」―倉本聰氏からのメッセージ

 

  渡辺芳子の主な出演作品―劇団仲間を中心に