歌集 夜を織る
入野正男 著
発行年月日:1997/06/
サイズ:A5判・上製函入り
ページ数:272ページ
ISBN:ISBN978-4-87196-010-6
定価:2000円+税
■内容紹介■
木下順二(序文より)
入野正男の病床歌二首。
身にふかき痛みに一人耐えをればわが家に近く誰か杭打つ
ぽつねんと病室にゐて秋の野の案山子のごとく冬仕度せず
二首ともに秀歌である。解説など一切必要としない。口ずさんでみるたびに、作者
の痛んでいる心とからだがこちらの心とからだに静かに染(ルビ=し)み入る心地が
する。
『夜を織る』は、深まる時代の病根を見すえつつ、人間と自然が織りなすさりげない
日常的事象への愛惜を叙した、作者が苦闘のすえに到達した精神世界の静謐なぬくも
りの結晶である。(松本昌次)