天皇をめぐる物語
歴史の視座の中で







◆著者:田中 伸尚

発行年月日:1999/04
サイズ:四六判・上製
ページ数:336ページ
ISBN:978-4-87196-017-5
定価:2400円+税


■内容紹介■


憲法を食い破り
歴史を空洞化させ
虚構を再構築・再生産しながら
21世紀、天皇(制)は何処へ行くのか……



現在と過去との尽きせぬ対話を続け
時代の変化の性格を発見し説明する著者が
天皇(制)の過去、現在、そしてこれからを読み解く


l ペルソナをとった象徴天皇制
合祀拒否から何を受け取るか
中谷康子さんに聞く——二十五年の闘い
皇室は特定の宗教団体である
新嘗祭に参列する最高裁長官の憲法意識
「敗北」を継承するということ
美術館が「芸術の自由を捨てた日」
批判の自由なき「自由の国ニッポン」
第二ステージに入った政教分離訴訟

 〈座談会〉彦坂締氏・井出孫六氏と
   なぜ現代史を見直すのか
   改めて天皇制を問う

ll 未決の戦争責任と戦後責任の発生
昭和天皇は立憲君主で平和主義者だったのか
「聖断」神話の虚構
免責と「象徴」のあいだ
冷戦期に生じた新たな責任

lll フィクションとしての象徴天皇
「大逆罪」の存続を切望した吉田茂
歴史意識の欠如を表象した「独白録」
「大御心」から「民主天皇」へ
「テンポイント」の活字が躍った高知・植樹祭
メディアがつくる「象徴」イメージ

lV 収斂と拡散のあいだを浮遊する天皇像
三つの萬歳と「在位」六十年
天皇と自衛隊が出会う時
「希薄化」の中でのナショナリズム


●著者プロフィール

田中 伸尚(たなか のぶまさ)
1941年10月、東京都生まれ。朝日新聞記者を経て、ノンフィクション・ライター。民衆の視点から歴史や事象を捉え直し、事実を複眼的、批判的に積み重ねて構築するその骨太な作品には定評がある。著書は、各紙誌で絶賛された全8巻の大著『ドキュメント昭和天皇』ほか、『自衛隊よ、夫を返せ!』『大正天皇の「大葬」』『一九二八年。「御大典」の裏側で』『生と死の肖像』『日の丸・君が代の戦後史』『靖国の戦後史』『医療で死なないために』『さよなら、「国民」』『天皇をめぐる物語』など多数。