やわらかな詩人は言葉を武器にたたかいつづけ、
そしてこの本を遺して逝った。




詩があった!

五〇年代の戦後文化運動から不戦六十年の夜まで



井之川 巨 著



 

発行年月日:2005/08/
サイズ:A5判・上製(2段組)
ページ数:400ページ
ISBN:ISBN978-4-87196-034-2
定価:4600円+税


 

■内容紹介■

……
いまから六十年前にあったこと
銃を向けたくない
銃を向けられたくない
あの不戦の誓いはどこへ行った
……
国境をこえ侵攻する米軍、追随する日の丸自衛隊
ファルージャはゲルニカになった
それでも銀座、新宿、渋谷はきょうも賑わい
うかうかと日本人は虐殺に加担している



60年前の戦争の記憶と、現在進行中のイラク戦争を重ねあわせて、一編の詩を書きました。……ご一読いただけたら幸いに存じます。(著者“最後の詩”と手紙/本書「あとがきに代えて」より)

 

 

●主な内容●


l 五〇年代
 五〇年代・労働者文化運動の創出と軌跡
 戦後を疾風のように駆け抜けた江島寛
 事件と物語と——曙事件を考える [他]

ll 死と詩と
 荊冠の詩人 植松安太郎の詩と死
 「狼論争」とは何だったか/関根弘の「転向」
 「異邦人の河」の疼き/李学仁の死
 鶴彬の記録発掘を貫く一叩人を悼む
 東の田中正造、西の謝花昇
 誰が天皇を撃つ詩を書いたか
 現代語歌人の天皇不要論
 僕らはみんな死刑賛成派だった [他]

lll 反戦詩の系譜
 戦中戦後、変容する二つの「富士」/金子光晴
 死を覚悟の原爆歌集/正田篠枝
 反戦・反天皇歌はいよいよ佳境に/木原実
 「ただの石」が透視した社会批評/大石鶴子
 寝たきりの川柳作家/佐藤冬児
 「鬼」を生きるハンセン病詩人/谺雄二
 詩を武器として解放戦争へ/許南麒
 『辻詩集』の中の抵抗 [他]