「忠魂碑よ安らかに眠れ」


 

反 忠
神坂哲の72万字



◆ 著者:田中 伸尚

発行年月日:1996/07/
サイズ:四六判・上製
ページ数:496ページ
ISBN:978-4-87196-006-9
定価:3300円+税


■内容紹介■


国家神話に抗い、天皇をひたと見すえた
熱情溢れる市井の知識人の生涯を辿る
渾身の書き下ろし長編ドキュメント!



ある日、家のそばにやって来た巨大な忠魂碑。
「看過すれば軍国主義の共犯者になる——」
日常風景の中の<戦争責任>を問いかけた市民が
弁護士なしの憲法裁判で三連勝。が、急逝……


【忠魂】
l 忠義にこり固まったたましい。
  ll 忠義を尽して死んだ人のたましい。

【忠義】
主君や国家に対してまごころを尽して仕えること。
(『広辞苑』第二版より)




神坂哲氏が抗い続けた忠魂の思想は、現在もたしかにわたしたちの周囲にある。企業社会、新聞・出版・放送といったマスコミ社会、学校社会、地域社会、スポーツ社会、音楽社会などいろんな分野で、さまざまにデフォルメされて人びとを包みこみ、柔らかく人権を抑圧し、日々ナショナリズムを生産し続けている。これに抗して批判をし続ける真の知識人の姿がほとんど見られなくなって久しい。 ……神坂哲氏は、過去をひたと見すえ「反忠」の表象として書き続けた。肩を怒らせず、眉もつり上げず、淡淡と。わたしはこの市井の知識人について語り伝えたいと思った。(本書「あとがき」より)


●著者プロフィール

田中 伸尚(たなか のぶまさ)
1941年10月、東京都生まれ。朝日新聞記者を経て、ノンフィクション・ライター。民衆の視点から歴史や事象を捉え直し、事実を複眼的、批判的に積み重ねて構築するその骨太な作品には定評がある。著書は、各紙誌で絶賛された全8巻の大著『ドキュメント昭和天皇』ほか、『自衛隊よ、夫を返せ!』『大正天皇の「大葬」』『一九二八年。「御大典」の裏側で』『生と死の肖像』『日の丸・君が代の戦後史』『靖国の戦後史』『医療で死なないために』『さよなら、「国民」』『天皇をめぐる物語』など多数。