関東大震災から100年も経つというのに
大虐殺の歴史的事実に無知では済まされない。
この無慈悲な蛮行を二度とくり返さないために。
オサヒト覚え書き 関東大震災篇
石川 逸子 著
◆ 発行:2023年7月
◆ 判型:四六判
◆ 頁数:240頁
◆ ISBN978-4-87196-091-5
◆ 定価:2,000円+税
■内容紹介■
明治天皇の父・孝明天皇(オサヒト)の亡霊が導く
[反帝ドキュメンタリー・ノベル]シリーズの第3弾
関東大震災時の朝鮮人、中国人、
そして日本人でも辺縁・下層の民や反体制運動家などへの大虐殺!
このジェノサイドの根本的な原因と実態を、
虐殺の引き金となった朝鮮での3・1独立運動を起点に、
詩人ならではの鋭敏な視点から真っ直ぐに追跡する。
埋もれたものをはじめ数かずの資料を掘り起こして駆使し、
ところどころに迫真の詩や碑文等を散りばめながら、
どこまでも殺される側から、平易に、揺るぎない事実をもとに、
犠牲者たちを衷心から悼む。
「……大震災時になされた政府、軍隊、
そして民衆も加担した凄まじい大虐殺の犠牲者について、
未だこの国は、調査・反省・謝罪・補償も一切していません。
そのことが、現在のこの国の暴走を許しているのではないでしょうか」
――著者の「あとがき」の言葉が胸を刺す。
詩人として著名な作者の石川逸子は、
このクニのモラルハザードの元凶・天皇その人を狂言回しに、
意図的に覆い隠して無かったことにしたい数多の加害の歴史的事実に読者を直面させ、
蔓延している反動的で差別的、閉塞的な現在の危うい大勢=汚染された空気に
足元から風穴を開けようと試みている。
■著者紹介■
石川 逸子(いしかわ・いつこ)
1933年、東京生まれ。詩人、作家。1982年より29年間にわたって、ミニコミ通信『ヒロシマ・ナガサキを考える』全100号を編集・発行。
主な著書に、『オサヒト覚え書き―亡霊が語る明治維新の影』『オサヒト覚え書き 追跡篇―台湾・朝鮮・琉球へと』(一葉社)、『三鷹事件 無実の死刑囚 竹内景助の死と無念』(梨の木舎)、『歴史の影に―忘れえぬ人たち』『てこな―女たち』(西田書店)、『道昭―三蔵法師から禅を直伝された僧の生涯』(コールサック社)、『戦争と核と詩歌―ヒロシマ・ナガサキ・フクシマそしてヤスクニ』(スペース伽耶)、『日本軍「慰安婦」にされた少女たち』(岩波ジュニア新書)、『われて砕けて―源実朝に寄せて』(文藝書房)、『〈日本の戦争〉と詩人たち』(影書房)など。主な詩集に、『もっと生きていたかった―風の伝言』(一葉社)、『新編 石川逸子詩集』(土曜美術社出版販売)、『たった一度の物語―アジア・太平洋戦争幻視片』(花神社)、『定本 千鳥ケ淵へ行きましたか』(影書房)、『狼・私たち』(飯塚書店)などがある。
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