批評の醍醐味——演劇を思想する!




劇場往還


尾崎 宏次 著


 

 


発行年月日:1996/12/
サイズ:四六判・上製
ページ数:336ページ
ISBN:978-4-87196-008-3
定価:3000円+税


 

 

■内容紹介■

「雑文」で評す。
「架橋」を想う。



戦後新劇の代表的批評家である著者が、魯迅流の「雑文」スタイルで、単なる演劇状況にとどまらず、演劇の本質や奥底を思想的に根柢的に論じた評論集。演劇関係者のみならず「知」を希求する人すべての必読書!


「雑文」を中日辞典でひくと、「……形式にこだわらず、議論でも叙事でも、自由に
内容を展開することができる」とあって、気にいったのである。しかし、そうは言っ
ても、芝居というなまぐさい生き物が、息を吐き、火を吹き、水を飛ばしても、ただ
それだけに終るようなケースに出会って、うなだれたり、真のドラマは敗者のなかに
見いだせるにちがいない、という自分の考えに近い芝居に出会って、飛ぶようにして
帰る日があったりして、そういう行き来からたえず生れる迷いがなければ、雑文が雑
文にならないような気がしていた。(本書「あとがき」より)


●本書に登場する主な人びと


青木正兒 秋田雨雀 芥川比呂志 飯沢匡 伊沢蘭奢 イッセー尾形 宇野重吉 大岡昇平 小山内薫 小幡欣治 折口信夫 北林谷栄 木下順二 島村抱月 杉村春子 千田是也 滝沢修 谷崎潤一郎 坪内逍遥 東野英治郎 中沢桂 夏目漱石 林達夫 深沢七郎 三浦環 三島由紀夫 森本薫 山本安英 吉川幸次郎 米倉斉加年 華文綺 朱琳 曹禺 張継青 陳白塵 梅蘭芳 李白 梁谷音 魯迅 イーリア・カザン イングマール・ベルイマン ウイリー・ハース エルランド・ヨセフソン ゲオルク・ビュヒナー ゴーリキー シェイクスピア ジェシカ・タンディ G・ストレーラー ストリンドベリイ チェーホフ テネシー・ウイリアムズ トフストノゴフ ハイナー・ミュラー ピーター・ブルック ピランデルロ フリードリッヒ・ルフト ブルーノ・タウト ブレヒト ベティ・デイヴィス ヘルベルト・イェーリンク マリーネ・ディートリッヒ モリエール リリアン・ギッシ


●著者プロフィール

尾崎 宏次(おざき ひろつぐ)
1914年11月、東京生まれ。都新聞・東京新聞文化部記者を経て、フリーに。戦後新劇の代表的批評家として活動、昆劇の評価・紹介などに努める。現在、国際演劇協会日本支部顧問、都民劇場理事、雑誌『悲劇喜劇』編集同人。主な著書は『新劇の足音』『女優の系図』『明日の演劇空間』『演劇における時間』『八人の演劇人』『蝶蘭の花が咲いたよ』、訳書はM・マルソー『パントマイム芸術』、H・ベル『女のいる群像』など。『秋田雨雀日記』全5巻を編集。