“裏方”演劇人の知られざる思索・作業日誌
新劇製作者
劇団青年座とともに
水谷内 助義 著
Mizuyachi Sukeyoshi
◆発行年月日:2017/09
◆サイズ:四六判・上製
◆ページ数:272ページ
◆ISBN978-4-87196-065-6
◆定価 :2,500 円+税
■内容紹介■
水上勉の傑作
『ブンナよ、木からおりてこい』を
舞台に立ち上げた著者が綴る!
「創作劇の青年座」とともに演劇現場の最前線を走り続ける
名製作者の貴重な刻印録
「生活の中に演劇を」はそんなにやさしいことではないわけです。私がブンナ立ち上げからずっと続いているスタッフであることもあり、また作者水上先生とのいきさつのことも含めて、今日まで上演が続いている、息の長い上演活動のエピソードを自分の言葉で語り歩くという旅です。舞台をともなわない小さな一人歩きですが、……それは運動の最前線という切実、……会員の方たちとの勉強会ということではない、つまり生活の中の演劇という実態が何らかのかたちで反映されていなければならない。 (本書「小さな一人旅」より)
■著者紹介■
水谷内助義(みずやち・すけよし)
劇団青年座取締役・相談役、日本新劇製作者協会会長、日本演劇協会専務理事。1941年、東京生まれ。戦時、奥能登に疎開、のち福井県芦原町に転居。県立三国高校より日本大学芸術学部映画学科へ。65年、劇団青年座に入団。78年、水上勉の青少年向け小説『蛙よ、木からおりてこい』を舞台化した青年座公演『ブンナよ、木からおりてこい』を製作。新劇製作者として数々の作家、劇作家の作品の上演に携わり続ける。2014年「文化庁長官表彰」。著書は、『劇を。――ある演劇製作者の記録』。
劇団青年座のURLはこち → http://seinenza.com/index.html
日本新劇製作者協会のURLはこちら →http://www.seisakukyo.jp/
■もくじ■
製作者のつぶやき――ふっと立ち止まり、ふりかえる
Ⅰ
岐路――私たちは行く
風は過ぎ行く
「実り」と「祈り」
「聞いてくれ」、かくて新年を
再演をみつめる。それがうれしいのです。
東の風三メートルの中を
ゴールのない旅
時の風景 二〇〇八・一・一
夢と、次の出番を待ちながら
『評決』今を生きる証し
夏がくれば一直線、マキノノゾミ三部作
晩秋、婉然と咲き競うマキノ三部作
中空に旅する人たち
本当にある話だから
紫陽花の一週間
壮麗な夕焼けに
五十五年目の証言
演劇創造、この果てしない旅路
ちょっと寄って下さい「高円寺」下車五分『の女歌手』が待ってます
演劇の力
舞う北京、生活習慣のなかには
酷暑の夏は、めぐる
たそがれ、たそがれ
古稀を迎える
近 況
演劇、問い続ける日常は
記憶にない、記録
秋に想う
思 案 橋
母ちゃんの手紙
二〇一二年、その貌
真夏の夜、「光る根雪」
六郎よ、劇団は生きている
手 帳
青年座はゆく二〇一三、東京マラソン始末記
ホテル。「何もない空間」
芝居と現実のあわいに
灼熱の時『LOVE, LOVE, LOVE』の場合は
「朝日に照り映える海」に向って
二〇一三年、蛇年男はハードルを越えたか
イッサイのツブヤキ
春の点描
八月の情念
鼓楼がけむる街に
『世界へ』、命を吹き込むのは誰
行きゆきて戦後七十年、劇を今
終りの、始まり
小さな一人旅
秋天下、夢追うものの
怪しい時代
見届けなければ……
時々刻々、演劇は征く
芝居は生もの、四季折々の顔がある
暮れなずむ日々
Ⅱ
ある土曜の午後
「EXIT」の彼方
あこがれほろほろ
曼珠紗華の咲く頃に
無冠の人―追悼 森塚敏
十月一日
二十六年の時を経て「ブンナ」中国に行く
「ブンナワールド」の夢
私の「三好十郎」
「お別れの会」に寄せて
「傑れた劇」とは
「ブンナ」の軌跡
エリスとともに
劇団、情熱と持続の彼方に
二〇一四年八月二十一日は「通夜」であった
水上勉さんが描いた故郷・若狭
水上先生と青年座のこと
わろうて ござる
巡る年月五十年
「今日という日は二度とない」
椎名麟三先生