あの上野英信は沖縄・屋部(やぶ)に生きていた!
「地下水脈のように読み継がれた『眉屋私記』が
再び地表にその姿を見せた」(本書より)
眉の清(ちゅ)らさぞ神の島
上野英信の沖縄
三木 健 著
◆ 発行:2020年8月
◆ 判型:四六判
◆ 頁数:208ページ
◆ ISBN978-4-87196-080-9
◆ 定価:1,800円+税
■内容紹介■
筑豊の地底の坑夫たちをテーマにした記録文学で、
近代日本の在り様を撃ち続けてきた上野英信。
その上野の遺作が、沖縄を正面から取りあげた異色の作品『眉屋私記』。
「移民と辻売りという近代沖縄の底辺を貫く二つのテーマによって、
そこに息づく民衆の姿を映しだしたのである。
……眉屋一族の歴史は、近代の沖縄民衆の歴史であった」(本書より)
上野没後33回忌にあたり、眉屋一族生誕の地・沖縄名護の屋部(やぶ)地区に
『眉屋私記』の文学記念碑の建立が計画されている。
その実行委員でもあり、『眉屋私記』執筆のきっかけをつくり
取材に全面的に協力した著者が、
これまで書き連ねてきた上野英信と『眉屋私記』に関する文章を集めて編んだ、
まさに紙の記念碑とも言える一冊。
1953年当時の沖縄・屋部村全景
上野英信の『眉屋私記』執筆のきっかけとなった貴重なテキスト「山入端(やまのは)萬栄キューバ手記」の全文も、今回初めて収録されている。
■著者紹介■
三木 健(みき・たけし)
1940年、沖縄県石垣島生まれ。58年、沖縄県立八重山高等学校卒。65年、明治大学政経学部卒。同年琉球新報社入社。編集局長、論説副委員長、副社長を経て2006年退職。沖縄・ニューカレドニア友好協会顧問、世界のウチナーンチュセンター設置支援委員会共同代表。『眉屋私記』文学碑建立委員会委員。
主な著書に、『八重山近代民衆史』『聞書・西表炭坑』『沖縄・西表炭坑史』『ドキュメント・沖縄返還交渉』『西表炭坑資料集成』『西表炭坑写真集』『八重山研究の人々』『沖縄ひと紀行』『オキネシア文化論』『宮良長包の世界』『八重山を読む』『空白の移民史―ニューカレドニアと沖縄―』などがある。
■もくじ■
序 渡波屋から世界へ
上野英信と沖縄
通底する筑豊と沖縄
上野英信が遺したもの
「筑豊文庫」を支えた上野晴子
『眉屋私記』取材同行記
炭鉱移民と辻売りで紡ぐ民衆史
『眉屋私記』のヒロイン・山入端ツルのこと
出版とその後
『眉屋私記』をめぐる人々
*
山入端萬栄ノート「在外五十有余年ノ後ヲ顧リミテ」(手記)
2020年11月28日、沖縄のジュンク堂書店那覇店で
『眉の清(ちゅ)らさぞ神の島』の著者 三木健さんのトークイベントが行われました。
たくさんの方にご参加いただき、本当にありがとうございました。